
そのユッケ、本当に大丈夫?生食OKな肉とNGな肉の境界線
生食用と加熱用の肉の違いは、安全性の観点からとても重要だよ!簡単に言うと、「生で食べられるように厳しく管理された肉」と「加熱しないと危険な肉」の違いがある。詳しく説明するとこんな感じ。
1. 生食用と加熱用の肉の違い
(1)衛生管理の違い
生食用の肉は、食中毒を防ぐために特別な処理と管理がされているのに対し、加熱用の肉はそういった処理がされていない。
項目 | 生食用の肉 | 加熱用の肉 |
---|---|---|
処理方法 | 低温殺菌や除菌処理 | なし(一般的な精肉) |
菌の管理 | 表面・内部の菌を徹底的に除去 | 内部に菌が残っている可能性あり |
販売基準 | 「生食用」として厚生労働省の基準を満たす | 特に生食基準はなし |
食べ方 | 生で食べても安全 | 必ず加熱が必要 |
(2)加工・処理の違い
生食用の肉は、食中毒のリスクを減らすために、特別な処理が施される。
表面処理
生肉には主に表面に菌が付着するため、生食用の肉は表面を60℃以上で数秒間湯通しし、菌を減らす処理が行われることが多い。(「低温殺菌処理」とも呼ばれる)
内部処理
もし内部にも菌がある場合は、肉を特殊な方法で除菌したり、一定期間低温熟成させたりして安全性を高める。
専用の施設・環境
生食用の肉を扱うには、厚生労働省の基準を満たした設備で加工しなければならない。逆に、一般的な肉屋さんやスーパーで売られている「加熱用」の肉は、こうした管理がされていないため、生で食べるのは危険。
2. 生食用の肉の基準(日本の場合)
2011年に発生したユッケの集団食中毒事件(腸管出血性大腸菌 O157による食中毒)をきっかけに、日本では生食用の肉に対する規制が厳しくなった。
現在の基準
牛肉(レバー以外)
→ 生食用として販売するには「肉の表面1cmを除去する」「E. coli(大腸菌)基準を満たす」などの条件がある
→ そのため、一般のスーパーではほぼ販売されていない
牛レバー(2012年から生食禁止)
→ レバー内部にも菌がいる可能性が高く、2012年に生食禁止になった
豚肉・鶏肉(生食禁止)
→ サルモネラ菌や寄生虫のリスクが高いため、生食不可
馬肉(馬刺し)
→ 馬肉は牛肉よりも食中毒リスクが低く、「馬刺し」として生食用の販売が認められている
魚介類(海鮮ユッケなど)
→ 魚は寄生虫対策として「冷凍処理」が推奨されている(寿司や刺身も同じ)
3. 生食用の肉を安全に食べるには?
(1)信頼できるお店で買う
- 「生食用」と表示されたものを選ぶ(普通のスーパーではほぼ売られていない)
- 焼肉店や専門店で提供されるものを食べる
(2)自己処理はNG
-
加熱用の肉を「家で表面を炙るだけ」で生食にするのは危険
→ 肉の内部に菌がいる可能性があるため、素人が処理しても安全にはならない
(3)消費期限に注意
- 生食用の肉は特に消費期限が短いので、購入後すぐに食べること
4. まとめ
- 生食用の肉は、特別な処理と管理がされている(低温殺菌・専用設備での加工など)
- 加熱用の肉は、生食基準を満たしていないため、そのまま食べるのは危険
- 牛レバーや豚肉・鶏肉は生食禁止、馬肉は生食可能
- 加熱用の肉を自分で生食用にするのはNG